1: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)20:40:46 ID:lmW
どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
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2: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)20:41:32 ID:lmW
吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれはやきう民という人間中で一番怠惰な種族であったそうだ。

3: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)20:44:27 ID:lmW
このやきう民というのは時々漏らすという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。

4: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)20:46:50 ID:lmW
ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だかぶりゅぶりゅと音がした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついてやきう民の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始めであろう。

6: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)20:47:41 ID:r5q
期待

7: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)20:50:05 ID:lmW
この時、愚かなものだと思った感じが今でも残っている。 第一毛をもって装飾されべきはずの顔に毛が三本しかない。まるでキモい。その後猫にもだいぶ逢あったがこんな片輪には一度も出会でくわした事がない。

8: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)20:54:31 ID:lmW
のみならず股間があまりに突起している。そうしてその股間から時々ぷうぷうと異様な臭いを吹く。どうも臭くて実に弱った。これがやきう民がする脱糞というものである事はようやくこの頃知った。
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9: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)20:57:51 ID:GH1

10: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)21:04:05 ID:lmW
このやきう民の掌のうちでしばらく逃げようともがいておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。やきう民が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗に眼が廻る。胸が悪くなる。到底とうてい助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。

11: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)21:12:20 ID:lmW
それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。 ふと気が付いて見るとやきう民の家族がいない。たくさんおったやきう民の兄弟が一人も見えぬ。やきう民の母親もいない。その上今いままでの所とは違って無暗に明るい。

12: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)21:15:29 ID:lmW
眼を明いていられぬくらいだ。はてな何でも容子ようすがおかしいと、のそのそ這はい出して見ると非常に赤い。やきう民は急に母親に殺され棄てられたのである。

13: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)21:19:48 ID:lmW
やっとの思いでやきう民の体を這い出すと向うに大きな池がある。なんとか生きていたやきう民は池の前に坐ってどうしたらよかろうと考えていた。

15: 名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土)21:24:36 ID:lmW
別にこれという仕事もできない。しばらくして泣いたら母親がまた迎えに来てくれるかと考え付いた。マッマー、マッマーと試みにやって見たが誰も来ない。そのうち池の上をさらさらと風が渡って日が暮れかかる。腹が非常に減って来た。